「健康食品は薬と違うから効果はない」は、もっとも基本的な疑問なので
声に応えてWEB版 の最後に、このテーマについて書いてみます。
健康食品に効果がある。 健康食品に効果はない。
この2つの見解が対立する時、個人の体験に基づく意見と、実験や科学的根拠に基づく意見
を整合しようとすると収拾がつかなくなります。先ずは私自身の体験に基づく見解で恐縮ですが・・・
製造会社と言っても、家内工業のような小さな会社で、八丈島の契約農家から乾燥明日葉を送ってもらい、大きな焙煎機で明日葉の茎や葉を焙煎したり、明日葉の葉や根のパウダーを造っていました。 正直に申し上げて、最初は明日葉も単なるセリ科野菜の一つくらいにしか思っていなくて、それに効果があるかどうかはわかりませんでした。
明日葉の仕事をするようになって、アルコールに弱い私が、「あれ?なんだか酔わない??」普段は缶ビール1本も飲み切らないような私が、クイクイと酒が進んでいる事に驚きました。
明日葉を焙煎したりパウダーを作る時、マスクをしていないと鼻の奥までびっしり粉が入り込んでしまうのですが、かなりの重労働にも関わらず、ほとんど疲れないし、何よりその日の夜は、特にお酒に酔わない事をハッキリと自覚しました。
当時はその作用機序まで、探求する事はありませんでしたから、明確な説明はできませんが、明日葉の粉塵に塗れると『明日葉って効果があるんだなぁ』と、身を持って感じました。
勿論、この話だけ、効果がある=効くという事の証明にはなりません。
もしかしたら、皆さんにも経験があるかもしれない事で書いてみます。
-飲む前に飲む。効果ありましたか?-
代表的なドリンク(清涼飲料水)と、散剤(漢方薬)の2つがあります。
科学的根拠を重視する方は、清涼飲料水など飲んでもは効果ない。
実際に成分分析してもほとんど証明されないと言い切ります。
そもそも薬じゃないから効くという表現は不適切だという方もいらっしゃいます。
でも、実際それを飲んで悪酔いしなかった「○○○の力は効く」という体験は
知人からもよく聞きます。
このような2つの見解効く=効果がある。 効かない=効果はない。
尺度が異なるので、結論が出るものではありません。
但し、健康食品の利用者が、あるいはそれを治療補助に利用している臨床医が
「作用機序はよくわからないけど、どうも効果があるようだ」という感じています。
-食品は効果・効能を表現してはならない-
「疲労回復効果○○病の予防に オロナミンC」...薬事法X
「元気ハツラツ、とってもおいしい リポビタンD」...薬事法X
「疲労回復効果、肝機能改善効果 リポビタンD」...薬事法○
食品が特定の病気や症状に対して、効果・効能の表現を許されないのは、誇大広告による金銭被害や、適切な治療機会を奪う可能性がある事などの理由で、梅干し、納豆などの「明らか健康食品」は、誰もがそれを薬として認識していないと理由で予防効果などを言っても問題はないのですが・・・。
成分表示義務など細い部分を省略して、一番基本的な違いは
医薬品(医薬部外品)は承認が必要、健康食品は届け出でOK。
お墨付きを与えたものは表現を許す、与えていないものには許さない。...という事です。
-医薬品も使用法や効果・効能は広告してはならない-
ところが、それだけの費用をかけて作った薬も、実は一般消費者に直接広告することを薬事法によって禁止されているのです。
医療用医薬品のうち処方せん医薬品は、医師が患者を診断し処方箋を出して使われる薬で、薬理作用(効き目&副作用)が強く扱いに注意を要するもので、患者(消費者)に誤解が生じるような情報が流れないようにする ための規制ですが・・・
保険適応(薬価)は、国が決めるものなので好き勝手に広告させない...という一面もあります。製薬企業としても、余計な広告費を出費せずに済みますし、患者さんがお医者さんからすんなりもらってくれた方が販売メリットがあります。
-医薬品系vs食品系-
単純に薬系vs食系という言葉を使うことが多いです。
わかりやすい例をあげるとコラーゲン。
女性タレントさんが「○○を食べたら翌日お肌がツルツル♪」
○○を食べても単なるアミノ酸に分解されるだけ「全くナンセンス!」
の反対意見はよく見聞きする好例です。
また、その番組1本だけでは気がつかないけれど、徐々にある特定の成分を含んだ商品のPRにつながっていくようなシナリオになっている場合もあります。
薬系から見て、イメージ戦略だけで食品や化粧品が、病気や症状への効果・効能を語るなど論外である。 厳格な審査を経ることなく、次々と発売される健康食品に対して、医薬品系が批判的な見解になるのは当然の事だと思います。
-仮説が違えば実験結果も逆になる-
利用者が混乱するのは、同じ成分で「有効性あり」「有効性なし」の発表があることですが
実験とはある仮説に基づいて、その結果を導き出そうとして繰り返されます。
「効く」 という仮説結果を出そうとする実験と
「効かない」 という仮説結果を出そうする実験では、おのずから全く違う結果になります。
一方食品メーカーも、有用成分の開発や臨床データの収集に努力し、その研究費・開発費も年々高額になっています。
「食品だから安全だけど効果はない」 という時代ではなくなって来ていますし
「薬だから効果があるけど危険だ」 という時代でもなくなっています。
-あなたは太陽をどう説明するか-
物事の捉え方が違うと、全く違う説明になりますが、どちらも正しい事を言っています。
・地球上のあまねく生命活動のエネルギー源であり、光(昼)と影(夜)を作る・・・
真実(真理)は、公式(定理)の中にある⇒アインシュタイン
真実(真理)は、人間の意識の中にある⇒タゴール
「月を見ていない時、その月は存在するのか?」
のパラドックスを持ち出すと詭弁になってしまうかも知れませんが
「健康食品に効果はない、健康食品に効果はある」の解はこのパラドックスと共通であると思います。
人間の健康度を、客観的な検査数値(データ)で管理するようになった現代では
検査数値に変化がなくても、痛みが消えて(効果があった)と意識する人もいれば
検査数値に変化がなければ、痛みが消えても(効果はなかった)とする人がいる。
※WEB版「声に応えて」は、Q12で終了します。 2016年以降は『店長日記/相談員日記』に引き継ぎます。 |