よく○○博士推薦の健康食品とPRされている商品がありますが
ここではその注意点について書いていきます。
-肩書き(看板)に弱い日本人-
最近のグルメブームで有名シェフなどがTVに頻繁に登場しますが、そのシェフの店の料理は特段に美味しいような気持ちになってしまうものです。あるいは、高名な画家の作品だと言われるとそれが贋作であってもなんとなくすごい価値があるように思えたり、有名ブランド品だと言われると、なんでもない鞄がものすごく高価なものに見えたり・・・
洋の東西を問わずこのような犯罪はあるのですが、どうも日本人はお人好しの国民性らしく、たやすくその手がかかってしまう傾向があるようです。
健康食品の資料やデータを読む時に、肩書きや看板に惑わされることのないよう、ある程度の目利きの目安は持たれていたほうが良いと思います。
時折、有名な健康番組などで、出演している博士が手元のカンニングペーパーを頻繁にみながら、しろどろもどろな解説をしている場面も見うけられます。
-臨床医師【M.D.】と医学博士【Ph.D.】-
実際に患者さんを診る臨床医【M.D.】が治療効果を、博士【Ph.D.】は成分有効性の発表をします。
臨床(患者さんを診断・治療)することなく医学博士を名乗ることは出来ます。
学会発表やデータを入手した時に、論文主がPh.D.よりM.D.であるか
または、M.D.とPh.D.が併記されているかどうかが重要です。
Ph.D.=○○博士のPh.D.の意味は国によって微妙に異なります。
-インビボ(in vivo)とインビトロ(in vitro)-
もし、ラットやマウスを使った実験(試験)であっても
【in vivo】生きたままの状態で観察したのか?
【in vitro】細胞を取り出して観察したのか?
・in vitro:生体から物質などを取り出した試験管内での実験。
マウスにシスプラチン(代表的な抗がん剤)と米ぬかアラビノキシランを投与して、食欲低下(副作用)体重減少の比較をしたのが【in vivo】
マウスにあらかじめ抗体を投与して経口摂取した米ぬかアラビノキシランが血中に存在(腸管吸収)確認のための実験も【in vivo】
専門的な実験データは、わかりづらいと思いますが
試験管実験【in vitro】なのか、生体実験【in vivo】なのかだけでも実験の信頼性が変わります。
インビボは、再現性が難しく費用もかかりますが、インビトロは数がこなせるので 発表に有利な実験結果を得られやすいのです。
-○○学会で証明されましたの意味-
発表した学会が、実は商品開発メーカが主催する学会であったりする場合があります。
『発表で証明されました』というのは、発表が証明された(受動態)の意味ではなく
たんに発表(証明)しただけ、という場合もあります。
-臨床データをとる難しさ-
ヒトの臨床データを取ることは容易なことでありません。
同じ病気の患者(癌なら臓器別に)が一定数揃わなければデータに信頼性がありませんので、大規模な病院との連携が不可欠です。
また健常人のデータは日常生活がありますので、長期間にわたり拘束をするのは不可能なため、正確なデータを収集するには、ボランティアの協力が不可欠となります。
UCLA/DREW医科大学のM.ゴーナム博士の研究室で、活性化されたNK細胞(ハート型の核とグラニュールを確認)と、リンパ球を取り込んだがん細胞のプレパラート標本を、帯津良一先生らと一緒に顕微鏡で見ている写真です。
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M.ゴーナム博士は、臨床医ではありませんから、直接がん治療をするのではありません。大学付属病院で標準治療後のがん患者さんやエイズ患者さんなどに治験協力をしてもらって、免疫活性物質の検証するのが仕事です。
米国等では、病院が低所得者の為にボランティア診療(無料診療)をする代わりに、本人同意の上で治験に協力してもらうような制度があり、日本国内ではなかなか収集できない健康食品の臨床データは、このような他国の多くのボランティアに支えられています。
こうして、有効性の確認された健康食品を、実際のがん治療の補助で利用するのは
帯津良一先生に代表されるような代替医療(ホリスティック医療)の臨床医になります。
医薬品(創薬)のフェーズ(治験)と比較するとアバウトな部分は確かに多いのですが
このように検証と臨床を積み重ねている健康食品もあるのです。
末筆ながら・・・ご購入を薦められている商品で、やれ博士が・・やれ学会で発表とか・・言われてた場合に上記のことを頭に入れ置き下さい。外国語の論文でよくわからない場合は
発表主の名前の部分に【M.D.とPh.D.】(臨床医と博士)の両方があるか?
グラフの解説のところに【in vivo】と表記されているか?だけでも確認して下さい。